合宿二日目

次の日は廃村を見に行こうということで山登りをする。山登りと言えば秩父へ電車ですぐ行ける西武池袋沿線に住む小・中学生の遠足の定番はもちろん山登りでこれが昔から大嫌いだった。しかも学年が上がるごとにコースはハードになり、小6の遠足の顔振峠では鎖から落ちてケガをした上、気を失い、中2ではバスで行ったどっか遠くの山で体調を崩して、降りられなくなってロープウエーで一人だけ先に下山し、笑われ、もう二度と山には登らないと強く思ってそれ以来の登山だ。のぼりはじめてすぐに皆から大分離れたビリなって泣きたくなる。1時間半ほど歩いても村は見つからず、元気のいい人間だけ山の奥に入って行ってしまい、残りは待っていようとしたその時、スズメバチに襲われる。必死で逃げるけどどんどん増えるスズメバチ。平らな場所に来てやっといなくなる。誰も刺されなかったのがほとんど奇跡だ。これでもう待っている人達はやる気を失う。しんちゃんは文句をブーブー言い、黒いリュックを背負っていた中西さんは特にスズメバチは沢山近寄って来たため、なんだか落ち込んでいる。きまずい時間を過ごしているのに先に山奥に入って行った人達は一向に戻って来ない。しかし、わたしはある程度まで人と一緒に登れた(びりだけど)達成感でなんだかちょっと気分がよかった。
やっと戻って来た山猿のような4人と下山。帰りは工事用のアスファルトの道を降りる。沸き水が冷たくて気持ちよかった。
その後、田舎風のそばを食べて、何回聴いても全然よさが分からない忌野清四郎の音楽など聞きながら鍾乳洞へ。鍾乳洞は長そででも寒く、「天井知らずの間」というのがあって、ほんとに上まで真っ暗でずっと見ていると恐ろしくなるような場所だった。
国道と甲州街道を通って帰る。1、2列目の席はそれなりに盛り上がっていたが後部座席に座っているごつい3人、昨日ついたリングネーム「戦闘竜」(しんちゃん)「角田」(同居人)、けんじくんについたあだ名は忘れたけど一向に盛り上がらず、しんちゃんは相撲取りの名前で呼ばれている事に納得がいかず、おかんむりだったけど、帰りの立川駅では急に機嫌がよくなり、手を叩いたり万歳をしたりぬいぐるみのクマみたいなかわいいパフォーマンスを見せて帰って行ったのが心に残った。