由美香

ハズレッシブの練習にちょっとだけ参加した後、以前から見たいと思っていた「由美香」を見る。一回も女の人と付き合ったことのない男の子がこれを見たら幻想がなくなるだろうというくらいこの映画の二人はものすごく現実だった。日焼けを怖れて、真夏に長そで長ズボン帽子にサングラスという不審者のおばさんのような格好で自転車をよろよろ運転し、ツーリングが休みの日にはウイスキーの飲み過ぎで吐いてぶったおれ、無駄毛の処理をする林由美香という人は普通の意味では全然かっこよくないんだけど、考え方自体がかわるくらいのかっこよさだった。目からウロコが落ちるような、とはこういうことだ。この人は、存在自体がおかしくて、笑っちゃうけどでも、かっこいいし、すべて見せても美しい強さがあるのだ。もうこの世にいないのがすごく悲しくなった。それで、そういう風に撮っているのは監督の愛情だ。良い映画だった。
見たその日よりも、その後平日校正のゲラを見ながら思い出してちょっと泣いた。