「困る」について

大谷能生さんのイベント「大谷能生フランス革命」をアップリンクに見に行く。同居人出演のため。
今回のゲストは狩生健志、小川てつオ、音がバンド名で、小川さんと狩生さんと大谷さんでセッションをやるらしいとのことで最初からかなり楽しみにしていた。
小川さんはしょっぱなから椅子の上で爪を切り、段ボールを積み上げその上にゴミをのせ、リュックをかぶり、ターンテーブルルージュの伝言のイントロのみを鳴らし続けて迷いなしのノンストップで恐ろしくなるくらいのパフォーマンス。それに対して狩生さんは一貫して「困った」という様子を表し続け、それは後半になって小川さんに伝わり、二人の間にコミュニケートする意思のようなものが現れはじめた時点でセッションは終了した。(時間の都合で。)普段わたしはプロアマ問わず、ジャンル問わず、即興演奏というものにはほとんど興味がなく、知り合いのライブなどでも結構熟睡したり、内心早く終わんねーかなという考えでいっぱいになってることが多いのに、一分も退屈せず、ぞくぞくするような緊張感のあるすばらしいセッションだった。あと2時間は見たいと思った。
なんか、即興というと、どうしてもマッチョな勝負っぽいテイストが加わりがちで、どっちもがんばってがんばって、がんばりあいになってしまうことが多いように思うけど、一緒に演奏している相手が、圧倒的に「強い」と感じた場合、「困った」ということをもし100%表せるのならいいんじゃないか、と思ったし、というか今回は結果的にそういう態度をとったことが、トータルのバランスをよくして、いいセッションにつながったんじゃないかと思った。
その後、「音がバンド名」のライブ。本当にひさびさに見たけど、バンドとして洗練されたものになったように思った。ものすごく退屈で長い部分が減り、キャッチ−な楽しさが増えていて、それは進歩なのかはよくわからないけどとにかくあの二人はあいかわらずすごかった。
その後、この、「無力無善寺」「円盤」などで生まれている、訳が分からないシーンの訳が分からない連中のトークや、質問タイム。彼らは圧倒的に言葉が足りないから、もしあれを見に行った人がこれを見ていると仮定して補足説明すると、同居人カリウも含めて、「無力無善寺」などでは通常は、バンド形式でライブをやっている人の方が数としては圧倒的に多く、小川さんや、「音がバンド名」は、むしろ特殊な人達である、ということ、それから、今回「音がバンド名」の人達はファミコンの画面をスクリーンに映し出してパフォーマンスしていたから彼らのパフォーマンスはおもちゃみたいな小道具なしでは成立しないように思った人もいたようだけど、そんなことは全然なく、彼らはファミコンがその場になかろうと、体一つ、ラップだけで延々24時間でも48時間でもいつまでも「ロックマン」や「グラディウス」や「ドラえもん」について歌い続けられる(まあ聴く人には拷問に近いけど)ということくらいか。
今回のようなイベントをアップリンクで企画した大谷さんはさすがだな、すごいなと思った。

会場では、大学の時一緒だったAさん、「さくぶん」の加藤さん、オカダくん、たけだくんなどいろいろな知っている人の顔を、いつものライブの時よりも多く目撃したのでバンドのメンバーとしては、少しかなしくなった。ライブも見に来てくれ!