クラシック

東京国際フォーラムでやってるクラシックのイベント「熱狂の日」を見に行く。ちょっと前に確認したら、見に行きたいのはほとんど空席ありだったので、当日券を買うつもりでフラっと行ってみたらもうすでに人がわんさかいて昼のコンサートはすべて満席。夜、無禅寺でライブの同居人はせっかく国際フォーラムまで行ったのに一個も見れず。わたしはなんとか9時からのバルトークのチケットだけ取る。いやしかし、最近どんなイベントに行ってもこういうことが多い気がする。皆ばっちり事前にリサーチして準備して来るから当日気まぐれで行った人はちっともいい思いをしない最近の世の中。わたしの理想のおでかけは深沢七郎の「銘木探し」のおでかけなので、(喫茶店かなんかで近くの席の見知らぬ人たちが今から京都に銘木をさがしに行く、というのを聞いて行きの汽車賃だけ持ってフラっと一緒に付いて行ってしまう、という話。)そんなの嫌だ!と声を大にしてわたしは言いたい。
しかたなく有楽町の映画館で「ボンボン」というアルゼンチンの犬の映画を見るが、これが今日の同居人のがっかりした気分とあまりにもしっくりきていたのでおかしかった。たぶん誰も見に行かないと思うので以下ネタバレですが、この映画はあらすじを一行で表すと犬が交尾した、というだけのものすごいアンチクライマックス映画です。
というわけで夜まためんどくさいとちょっと思いつつ国際フォーラムまで戻って来る。曲は、バルトークの「ミクロコスモス」「2台のピアノと打楽器のためのソナタSz.110」。デジュー・ラーンキ(ピアノ)、エディト・クルコン(ピアノ)、ゾルターン・ラーツ(打楽器)、アウレール・ホロ(打楽器)という全員たしか、ハンガリー人。むかしピアノ習ってたけどクラシックはほとんど詳しくないので、知らない曲な上、全然知らない人たちだったんだけど、これが大当たりだった。デジュー・ラーンキのピアノが最高だった。クラシックの打楽器の人というのはど素人目から見ると、一音一音には気合いが入ってるけどすぐ止まっちゃう感じがしてわたしにはよさがよく分からなかったんだけど、そのかわりにデジュー・ラーンキのピアノが、全身グルーブ感の塊みたいな演奏で、一番後ろの席でメチャクチャノってしまった。クラシックだからもちろん、皆座っておとなしく聴いているので、遅刻して来て一番後ろの席でノリノリのわたしは白い目で見られたけど、本当はもう走って前に行って踊りたい、くらいの気持ちであった。あれは本当すごいよ。すぐに満席とか言ってないで、スタンディングにして、もっとたくさん人入れればいいのにね。と思った。それから、全曲終わってから拍手する決まりみたいなのがあるようで、曲と曲の間ではお客さんは皆シーンとしてるのに耐えられず咳をしているんだけど、咳するくらいなら拍手すればいいじゃんと思った。あまりによかったので45分の演奏時間が「あれ、もう終わり?」っていうくらい10分足らずなくらいに短く感じた。最後スタンディングオベーションもして上機嫌になる。
で、もう一個くらい見たいなと思ってブラブラしてたら券が余ってるっぽいおじさんを見つけ、ねぎってチケットを入手。(そういやこのイベント、プロのダフ屋が全然いなかったのがびっくり)今度はチェコのピアノトリオのドヴォルザークだったんだけど、これはわたしにはお上品すぎてあまり興味を惹かれなかった。ちょっと眠くなって来たのでアンコールは聞かずに帰る。クラシックはふだん自分らがいる所よりも、ずっと、しっかりした世界のようなので、来年は必ず事前にチケットを予約すること。忘れないように書いておこう。