新商売

スタジオ、スタジオ、ツアー、ツアーでこの秋、本格的にお金がないので大学院時代に買いためた研究書をアマゾンで売りさばきはじめた。たいした値段じゃないだろうけどどうせもう二度と読まないだろうし、と軽い気持ちで出品し始めたら次々品切れの希少本が発見され、ウハウハになる。(実際にはまだそんなにたくさんは売れてない。)アマゾンのマーケットプレイスは売り手の名前では検索できないのでわたしが何を出品しているのかはわたしにしか分からないけどアノ狭い世界、出品本一覧表を見られたら確実に顔が割れてしまいそう。やばし。でも、さっさと売ってしまうから大丈夫。たぶん。アノ、セクハラアカハラの嵐だったチラッと思い出すのも不快なとある研究会のリリースパーティで、バイト代がわりにもらったクズ本も売ってしまおう。もちろん初版だからコレクターズアイテムだ。(当時、バイト代代わりに本をもらうということはよくあった。たいていはいらないうえ重い本で、確実に売れ残るから押し付けられるというだけの話である。)

本棚の整理をひさびさにしたら、高橋源一郎の1998年の日記を発見。小学生だか中学生の時に何度も読んで、本ばかり読んで音楽ばかり聞いて大人になったらこんな生活を送りたいと思ったことをフト思い出す。貧乏だから買物の量が圧倒的に少ないだけでまあ、大筋では似たような生活だ。夢が叶ったのか。高橋源一郎はこのあと離婚したり結婚したり離婚したりして大変だったんじゃなかったっけ?この本の帯には断腸亭以来の傑作みたいな大げさなことが書かれているけど、この日記は永井荷風じゃなくて大岡昇平の「成城だより」の真似でしょう?少なくとも文体は。