闇のパワーを身につけている

ホームページリニューアル用のデータをかずま君に送ろうとしたらスキャナーが使えないことが判明。同居人が修理しようとするが、上手くいかず、同居人自体がストレスで故障寸前に。それで出かけるのが遅れてしまったのだけど、大急ぎで早稲田大学の学祭で行われるフリーのライブイベントへ。楽しみにしていた渋さ知らズは終わっていた。
着いた時にやっていた敢えて名前は書かないけどとあるバンドは、おそろしく前向きなだけでなく、聴衆にも自分達と同程度の前向きさを強要するような音楽で、ボーカルとベースの音がありえないバランスでデカく、パソコンのせいで疲れた心にはほんとうにしんどかった。
トライセラトップス」は、CMでもやっていた昔の曲+ビートルズとかエアロスミスとか皆知っている曲のカバーという、配慮しすぎ?っていうくらい自分達のファンでない人が混じっていることを配慮した選曲で、この人はすごくいい人達なんだろうなと思った。いいバンドだなと思った。ボーカルの人の喋り方がものすごいバカっぽくてかなり好きになった。さすがレミの息子という曇りのない明るさだった。平野レミのことはわたしは大好きなのだ。
そして、最後に目当ての曽我部恵一バンドを見たのだけど、わたしが知っていたサニーデイサービスの曽我部恵一とは全く別の人だった。人間はここまで数年のあいだに変化できるのか、と感心するくらい違う人、違う音楽だった。曲の感じとか、歌詞とか、表向きはそう変わっていないからCDを聞いただけでは気付かないかもしれないけど、すごすぎてオエっとくるくらいのエグみというか、闇のパワーを身につけていた。一番調子のいい時の早川しんちゃんにも感じる闇のパワーだ。明るいんだけど、混じりっ気のない明るさではなくて、ド鬱状態が何年か前にあって、それを克服した極限まで暗いゆえの明るさだ。ほかのメンバーが若くて普通に明るいからより際立つ。たぶんこの人はもともとそういうところがあったのだろうけど、メジャーで売れていた頃はうまく抑えていたのだろう。こんなにエグいとキャッチ−じゃないから。でも、今は自分で勝手にやっているから好き放題だ。完成度という点では下がったかも知れないけど今の方が好きだ。そしていつまでも「愛」に目覚めた状態でいてほしい。あのパワーの量で「悪」に目覚めたらたいへんだと思うので。そんなことを同居人と話す。
こういう人が金をもうけて欲しいので微力ながらTシャツを購入。今年一番心に残るライブだった。

帰りに紀伊国屋でSTADIO VOICE 「地下音楽」特集を見る。「俺はこんなもんじゃない」の名前が載っていると聞いたので。雑誌に載ったことは何度かあるけどいつもそうだが今回も名前がチョロっと載っていた。もっとバンドのことが詳しく載るようこれからも精進していきたい。そして、その特集ではあいつがネストの窓ガラスを割ったことも少し、紹介されていた。あいつこそがまさに「地下音楽」。