都会の本屋と田舎の本屋

福岡は食べ物はおいしくてとても気に入ったのだけど、本屋があまりよくなかった。金井美恵子が以前書いていた都会の本屋と田舎の本屋の違いがここに来て分かった。残念ながら福岡の本屋は田舎の本屋なのだ。といってもわたしの考える田舎の本屋は金井美恵子とはすこし違うと思う。別にわたしは、蓮實重彦ドゥルーズなんか置いてなくたっていいのだけど。
福岡の本屋は、大きな本屋でも、「ツタヤ」の本屋でも、置いてある本がどこまでも想像の範囲内のラインナップで、「オレンジページ」で書店員がオススメするような本ばかりが置いてあって、「こんな本あったんだ」というような発見がないのだ。佐野洋子の本が読みたかったけど、一冊も置いてなかった。(絵本は除く)でも、「東京タワー」はほんとにタワーができるくらい山積み、「ナラタージュ」は山積み、「海辺のカフカ」も山積み、いしいしんじも山積み、そんな本屋ばかりなのだ。それでもうどうでもいいやと思って、ふだん読まないような本ばかり買った。


ジョゼと虎と魚たち
田辺 聖子〔著〕
角川書店 (1987.1)
通常2-3日以内に発送します。

ヨーロッパ退屈日記
伊丹 十三著
新潮社 (2005.3)
通常2-3日以内に発送します。

田辺聖子が意外な収穫だった。「ジョゼ」は映画より原作の方がずっといいし、(映画は細かく描き過ぎていると思う。最後の結末も、あんな双方に長々語らせるからしらけるのだ。さらっと終わる原作の方が涙が出る。)それ以外の短編もすごーくよかった。お話という感じがあまりしないくらい上手い。他の作品も読みたい。江国香織はやっぱりダメだった。ネトっと女臭すぎるし、金持ち臭すぎる。全然関係ない別の星の人、という感じ。「ヨーロッパ退屈日記」はホントに倦怠している感じ。面白い。「家族のごはん作り」はものすごく役に立ちそうだけど、文章がどうにも説教くさくて辟易した。ふと、後ろのクレジットを見ると、有元葉子の文章ではなくて、別の人が代わりに書いていた。やっぱり。この人そんな説教臭くなかったはず。


この日は唐津まで電車に乗って行き、何もない街をブラブラする。空気がきれいで、良い街だった。それから帰って紅白歌合戦を見て寝た。