海のふた

高円寺円盤月1イベント「コマツの部屋」を見に行く。同居人出演のため。日本ロックフェス第一回(3年前に無力無善寺で行われた一週間ぶっ通しのイベント。ものすごい祭りだった)のDVDを見る。これは近々販売されるらしい。ビデオを見ながら、お菓子を食べながら、ダラダラと話していると人のうちに遊びにきたような気分になった。3年前、皆若い。ツルツルしている。皆、かわいいなあ。3年前のうちのバンドにはまだ、サキソフォンボーイ藤井がいて、ムキムキでものすごい迫力。よくこんな人と一緒にバンドやってたなと思うほど。顔の影がまるで劇画。それから、すごいと評判だったマイアミさんのこの日のライブ、はじめて見る。鋭い。するどすぎて胸が苦しくなった。気が狂う寸前の音楽。

帰り、吉本ばなな「海のふた」文庫になったので買って読む。うーん、イマイチだ。なんか世の中に対して明確な主張がものすごくあって、それが動機でたぶん話を書いているのだけど、その主張がおそらく個人的な恨み(しかも金銭にからんだ)とごたまぜになっているから、しかも本人はその出来事を精神的に乗り越えたと思ってるんだけど、実は消化しきってないから恨みみたいなのが話の端々からあふれ出て、表面上はかわいい話を書いているのだけど、すごくおどろおどろしい嫌な感じになっているんじゃないか、と思った。最近のこの人の作品はこういう主張とお話のバランスがかなり危うくせめぎあっていて、「デッドエンドの思い出」はまあまあ上手くいってるんじゃないかと思うけど、あとは下手だ。読んでいて楽しく無いおとぎ話はよくないと思う。素人意見としては。