オカモタロウ

2ヶ月に一回、無善寺で行われるイベント「オカモタロウ」の日。
マイクと初めて会ったのは、3,4年前、まだバンドのメンバーが7人いた頃で、場所は渋谷の青い部屋だった。(その頃はよく青い部屋でライブをやっていたのだけど、ブッキングの人が代ってしまって今は全然縁がない。)その時、マイクは日本語が全く喋れなかったと思う。そして、「神は愛」だか「神の愛」だか日本語で書かれたへんなTシャツを着ていた。わたしの中学生英語で、中学の教科書に出てくるような会話をしたことを憶えている。(「はじめまして」「どこから来ましたか?」「バンクーバーから来ました」「バンクーバーはとてもきれいな町だそうですね」「バンクーバーは自然がたくさんある町です」「わたしも行ってみたいです」など)
しかし、それからわずか半年後、たぶんUFOクラブでダモ鈴木の前座をやった時にマイクに会ったのだけど、その時すでに彼は「ひさしぶりー。元気?ライブ良かったよ。俺はこんなもんじゃない、大好き。」と日本語で話すマイクとなっていた。それからはマイクと話す時には、一切英語は使っていない。(下手な英語を使うとかえって通じないのだ)おそるべき語学習得能力だ。
マイクはうちのバンドが大好きらしいが、うちのバンドの人達もマイクが大好きだ。いつでも、なんともいえない良い笑顔だし、すごく礼儀正しくて素朴。この人に悪い事をできる人が本当の悪人だ、という感じのものすごい善人オーラを漂わせている。仕事は「ヘッドハンティング」をやっているというのもすごい。この人に「大丈夫だよ」と言われたら会社を移ってしまいそうだ。適職だ。
そんなマイクに今回、「オカモタロウ」に出演してもらったのだ。マックからダンスミュージックを流すらしいという噂は聞いていたが、すごく楽しみだった。
マイクの作ったハウスミュージックはものすごいゆるさと優しさがあって、なんとも言えずマイクらしかった。音楽をかけている間も、中腰の中途半端な姿勢で時折ガッツポーズをして友達の方に向ってニッコリ微笑んだり、たまに立ち上がって踊ってみてすぐにやめたりと、マイクらしさが全開だった。お客さんは戸惑いつつ微妙に踊っていた。
マイクがパフォーマンスをはじめた途端、無善寺がさらに異様な空間となり、企画者の同居人は大満足の様子であった。