k先生に会う

夜、西荻でk先生に会う。借りていた本を返すため。去年まで近所に住んでいたk先生は引っ越して、新幹線に乗らないと行けないような遠くにいる。k先生のことは最初、図書館で論文を読んですっかりファンになって、所属している大学を調べて、モグリにいった。先生は学生に対してはとっても厳しい人で有名らしいが、ロクに勉強もしないくせにちょっと遊びに行くような気分でモグっていて、あれこれお菓子やら食料やらもらって帰るわたしにはとても親切であった。お金が全然なく、明日どうやってご飯を食べるかという状態だった時のわたしにバイトもたくさんくれた、恩人である。
しかし、先生のそういう、どこの馬の骨とも分からない人間でも困っていたら優しくできるような部分が、しばらく会っていなかった数年の間に、学生やその他いろいろな人との関わりの中で傷付けられてしまったのではないかという感じがした。教員は大変な職業だ。いいことをしたり、優しくして当たり前っていう所があるから。わたしはいい人にも優しい人にもなれないから全く向いていないなあ。免許は持っているけど。どういう形か分からないけど、先生にはいつか恩返しをしたいという気持ちがわたしにはいつもあるのだ。