SXSWライブ!

今日のライブが心配で朝からちょっと機嫌悪し。おまけにこっちの朝の定番モーニングタコスがこってりしすぎで気分最悪。ついつい同行している中西ちゃんに当たりそうになってしまう。いかんいかん。こんな時は練習しかないと思って、朝からメトロノームも使ってみっちり練習する。楽器を弾いたら心が落ち着いた。
昼からレジストのために大きなホールのような所に行く。今日対バンの大阪から来た百景の人たち、マディーの杉田くんたちに会う。杉田くんに会ったらなんかホッとして手を取って再会を喜ぶ。「よくぞご無事で!」と言われる。それからライブに備え、遊びに行く皆を尻目にポールに送ってもらって家に戻る。しばし昼寝。
しかしこの後が大変だった。タクシーで会場に行こうとしたけど電話が全然通じない。みなSXSWのために出払っているのだ。仕方なく同居人と二人で全員分の荷物を背負ってバスに乗る。しかしバスの乗り方が分からず右往左往する。時間はもう8時を回ってるし(10時が出番)どうしようと思っていたら身なりのきれいなヒスパニックっぽい男の人がバスに乗ろうとしているので思い切って話しかける。
この人はアレックといって、弟がテキサス大学の学生でヒューストンから遊びに来ていた人だった。ダウンタウンで友達と飲む約束をしていたのだけど、わたしらと同じくタクシーが全然捕まらず、仕方なくバスに乗ろうとしていた所。会場のハイドアウトの住所を見せると、近くまで送るから一緒にバスに乗ろうと言ってくれる。
どの旅行ガイドブックにも「バスは車を持てない人が乗る低所得者専用の乗り物です」と書いてあるけどこれは割と本当だなと思った。このバスにはホームレス(のような人)が4、5人乗っていて、席はゴミ袋でいっぱい、床はそこから落ちたゴミでいっぱいであった。しかし、テキサスはホームレスもやさしいみたいで、「へんな大荷物の日本人が乗って来たよ」とこそこそ話し合って、彼らはバスを降りて席をゆずってくれたのだ。感謝。
あれだけの大荷物をどうやってハイドアウトまで運んだのかほとんど奇跡みたいに思う。とにかく我々二人はアレックのおかげで無事正しいバスに乗って、会場まで着いた。アレックにお礼にCDを渡す。
会場に着くと左手がしびれて痛い。大荷物のせいだ。緊張と焦りがピークになる。おまけにこれは予想のついたことだが俺こんTシャツが全然似合わない!白いTシャツはこの世で最も似合わない服なのだ。かっこいいTシャツなんだけどがっかりだ。日本ではライブの前に緊張する事なんてないのに、緊張して緊張して泣きたくなる。そうしたらSXSWのスタッフの黒人のおじさん(おっさんに見えたけどたぶん同い年くらい)が励ましてくれる。こっちの人はホントに皆優しかった。
あっという間に本番。なぜなのか全然分からないけど会場は80人の座席はぎっしりの人で埋まって立ち見も出る程の大盛況の大歓迎であった。これは日本でもめったにいない。最初の曲はブラジル。リハをやってないから不安だったんだけど、中音は今までで一番バッチリだった。外音も多分よかったと思う。コルグのX5Dから高級なピアノのような音がした。電圧の違いだろうか。一曲、一曲演奏する度にお客さんがちゃんと反応を返してくれる。緊張していたし、左手もしびれていたからどうしようと思ったけど、LeeとJoleeの顔や、じゃみへんやヒロ、しんちゃん、ハラサキの応援する顔がどんどん浮かんで来てレコード大賞じゃあるまいしちょっと涙が出た。
終わった後、CDもドンドン売れる。同居人はすでに旅の資金が尽きていたのでここで売れたのは本当に助かった。スタッフの人たちも大興奮で褒めてくれて、何人かと記念撮影までさせられた。
同居人とフェスの会場をちょっと回ったり、ハイドアウトのおいしいキッシュを食べたり、百景とマディーの応援をしていたらあっという間に終わり。帰りにホームレスのおじさんからバラの花を買うが見事に3ドルほどボラれる。