自分が悪いことをする人間だ、と思えているうちはその人は悪人ではないように思うのです。悪人は、自分が悪行をしたと思わないものだと思うので。悪人は、常に自分が正しくて、弱い立場であると思っているし、自分ができないことやうまくいってないことを周囲の環境や他人の問題にすり替えるし、相手との間に共通に存在するコンプレックスを瞬時に見つけ、それを肴に相手を意のままにコントロールできる人間だとわたしは思うのです。しかも無自覚に。だから、たとえ人を殺しても、悪人の中では悪行は一切行われてないのだろうとわたしは思うのです。
それ以外の人間、つまり普通の人は悪いことをしたときに、「悪いことしてしまったな」と思うのだったらしない方がいいと思うのです。なんでそんなことを思ったかというと、高校生のとき、近所のドラッグストアで、ちょっと背伸びしてファンデーション(2000円くらい)とケース(500円)を買ったのですが、「見習い」と名札に書いてあるおじさんがファンデのことがよく分かんなくてケースのバーコードだけピッと押して「500円です」と言い、黙ってその時は500円払って店を出たのですが良心の呵責に耐えられず、結局店に戻ってお金を払ったことがあり、その時に「ああ、悪いことはするもんじゃないな」と思ったのでした。悪いことは心臓に悪い。