とうめいロボちひろさんのこと

とうめいロボちひろさんにはじめて会ったのは去年の春、アントニオ・ネグリが来なかった東京芸大のキャンパスでした。その日は俺こんとマディーが野外ステージでライブをしたのだけど、それをちひろさんが見に来ていたのです。鮮やかなオレンジ色のコートを着ていて姿勢がまっすぐで髪もまっすぐで、「あ、この人はただものではないな」と思ったら、やっぱり歌を歌う人だったのでした。その後すぐ、第一回目の廃校フェスで対バンすることになり、とうめいロボのライブをはじめて見たのだけど、歌にも、歌詞にもとにかくびっくりして、ああ、すごい人がいるなあと、一瞬で大好きになったのでした。その時、ちひろさんはわたしにたくさん話しかけてくれたのに、人見知りで警戒心の強いわたしは不必要に脅えてろくな回答もできず、その後もう一回、「都会の迷子さん」で対バンしたときにようやく連絡先を聞き出すことができたのでした。
なんか一緒にできたらなあーと思いつつ、なかなか行動に移せずモタモタとしていたのですが、段々とスッパバンドととうめいロボのコラボレーションについて思いをはせるようになったのです。そして秋、とうとう勇気を出してスッパバンドの企画に出てくれませんか?しかも、スッパバンドがバックで演奏してもいいですか?と誘ったところ、快くオーケーしてくれて、さらに、今度東京に引っ越してきます、という嬉しいメールが来たのでした。
こうしてはじまったとうめいロボさんとのご縁ですが、今度のレコ発では俺こんがとうめいロボさんとのバックをつとめます。スッパバンドの場合、とうめいロボさんとの演奏は本当に自然にフィットするので、何も考えなくても音楽が進んでいく感じですが、俺こんだと、いつも曲を作ってる時のように立ち止まって皆で考えて、何度も試してみて、という形で進んでいくので、バンドごとに全然違うなあ、とこないだスタジオに入って思いました。すごくおもしろいと思います。