雀百まで踊り忘れず

今では「眠い」が口癖だけど、子どものころはものすごい不眠症で羊を何匹数えても眠れず(「寝ている間に宇宙人にさらわれたらどうしよう」とか「朝起きたら目が見えなくなってたらどうしよう」とかしょうもないことを一晩中心配していたのです)、暗がりの中で本を読んで暇をつぶすことを覚えたのがわたしの読書人生のはじまりだったのです。本をたくさん読むことくらいしか自分には取り柄などないのです。バンドは、人との関係性によって得られる楽しみを与えてくれるけど、読書は純粋な、自分だけの楽しみなのです。
昨日WEEKENDとのスタジオの前に時間が余っていたので三省堂に行ったら、「第七官界彷徨」の文庫を見つけました。7月に出てたみたいです。今まで、文庫版の全集は何回か出ていたけれども、今回の本に掲載されているのは「第七官界彷徨」とそのスケッチである「「第七官界彷徨」の構図その他」のみ、すごくきれいな装幀で、いい本なのです。それで、何だか自分の友だちのことのように「よかったね」と思ってしまって少し泣きました。恥ずかしいくらいオーバーだけど、あの作品が日の目を見ることがうれしかったのです。昔尾崎翠の論文を書いてたころ、なんか好きすぎてほとんど上手く書けなかったんですけど、今もまさにそういう感じです。なんだかんだ言って、尾崎翠の「第七官界彷徨」は、わたしにとってはやっぱり特別な作品であることを思い知らされました。
WEEKENDとの練習はおもしろかったです。次回のライブでは3曲フィーチャリングしますよ。

第七官界彷徨 (河出文庫)

第七官界彷徨 (河出文庫)